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1.ネット社会の新しい常識

 インターネットの利用には、操作技術と社会常識が必要だと言われます。そして、社会常識がまだまだ未熟なため、子どもに常識を教えることが重要だと考えられています。
 情報モラル教育でも、ネット安全教室でも、社会のルールやマナーをしっかり覚えれば、ネットを使っても問題にはならないだろうという考えが基本となっています。
 例えば、「ネットに悪口を書き込まない」「ネットで知り合った人に会いに行かない」「個人情報を公開しない」などの指導が行われます。これらは、実際に事件やトラブルに発展したケースを題材に、直接の要因となった問題を指摘しようとしていることがわかります。要するに「日常生活でやってはいけないことをネット上でやっているからトラブルになっている。実社会でやってはいけないことはネットでもやってはいけない」と訴えているのです。

 ところが、実社会で本人に直接悪口を言ったり、知らない人にとても友好的であったり、自分の写真を配るようなことを、子ども達は行っているでしょうか?行っていないとしたら、それは単に知識としての社会常識があるからなのでしょうか?
 写真を悪用されたケースで考えてみましょう。「ネットで知り合った人を信じて写真を送信したら加工されて悪用された」という事案があったとします。この場合、写真の送信が間違いであり、送信してはいけない(=悪用のリスクがある)ことを知らなかったことが問題と考えられます。すると、上記のように「知らない人に送信してはいけない」という注意になるのです。しかし、そもそもなぜ面識の無い人に写真を送信するのでしょうか?日常生活では行わないことがネット利用時に出来てしまう理由は、ネット利用時の特殊な心理状態や判断の歪みにあるのではないでしょうか?

 インターネットは情報伝達網に過ぎないと考えがちですが、実はそれ以上の存在です。まるでインターネットに自分が支配されてしまうような、これまでの常識が通用しない要素があるのです。それによって、普段とは異なる行動が起こりやすくなり、その結果が事件やトラブルとして現れるのです。
 インターネットを理解することは、インターネットが社会のインフラとなりコミュニケーションの土台として生活を支える21世紀の新しい常識を学ぶことです。大きな問題が起こらなければ指導の必要性はない、と考えず、問題が起こりにくい「ネット社会の新しい常識」を身につけたネット利用者の育成のために感心を持つべきです。このような視点で指導することで、事件やトラブルの防止だけでなく、より発展的なネット利用が可能になるのです。