1.賢い情報消費者の育成を目指す

 「消費」とは、限られた財産を上手に運用して、自分の生活に役立てることです。基本的にはお金を払ってモノやサービスを受けることを指します。
 情報消費者とは、情報の内容を吟味して、自分の生活に必要な情報を選び活用できる人のことです。これまでも、宣伝やテレビ報道の内容を評価するなど、情報を「消費する」機会はたくさんありました。
 インターネットによって、私たちはますます多くの情報を選択する必要性に迫られています。多くの企業が宣伝メールを送りつけたり、犯罪組織がウソの情報を届けたり、SNSでは根拠の無いうわさ程度の情報が飛び交います。こうした膨大な情報を評価して見極め、自分の生活に役立てることが、インターネットを使う上で重要になります。
 賢い情報消費者の育成とは、偏見や周囲の様子に合わせて物事を判断するのではなく、主体的に判断する力を高めることが目的です。

 論点を分かりやすくする為に、「チェーンメール」について考えてみましょう。チェーンメールとは不幸の手紙の電子版ともいうもので、ウソの内容なのにそれを転送させるよう促すメッセージを含むメールのことです。例えば、「駅前のデパートのトイレで幼児が乱暴された。このメールを転送して皆にしらせて!」という具合です。
 こうしたメールが届いたら、あなたは転送せずに削除するでしょう。問題はその理由です。あなたはなぜ転送しないのですか?
 理由はいろいろ考えられます。正しい理由は、内容がウソだから(信憑性や根拠がないから)です。チェーンメールのようなメッセージだから削除するのではなく、内容に価値がないから削除するのです。架空請求や不当請求の対応も同様の理由で考えられます。
 では、「内容に価値がないから削除する」ために必要な教育とはどのようなものでしょうか?具体的な手段は問いませんが、やるべきことはおおよそ決まっています。それは「疑問を持つこと」です。疑問を持つための指導はインターネットの利用の一環として行えるだけでなく、日常の類似ケースを参考にしても行えます。

 「チェーンメールを転送してはいけない」と覚えるだけでは、特定のケースにのみ対処が可能となり、応用が効きません。同様にネット犯罪、ネットいじめ、ネット依存、など個々の問題についても、常に最新情報をアップデートし続けることになり、指導の時間も、費用対効果も限定的になります。
 末端の対処方法を丁寧に教えることも必要ですが、その根本にある判断方法を伝え考えさせることも必要なのです。